エネコートテクノロジーズ

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ご挨拶

 次世代太陽電池の大本命と言われる「ペロブスカイト太陽電池」、その鍵材料であるペロブスカイト薄膜の特性を目の当たりにした時、直感的に「これは本物だ!」と感じました。私は、2010年からJST さきがけ「太陽光と光電変換機能」領域で有機系太陽電池の開発研究に取り組んでいましたが、そんなさなか、ペロブスカイトを光電変換材料に用いた太陽電池が突如現れ注目を集めました。この材料にいちはやく可能性を感じ、さきがけの領域研究者の有志を募り「成果結集PJ」として国内初のペロブスカイト太陽電池の研究プロジェクトを立ち上げました。その後も、JST COI・JST ALCA・NEDOなどのいくつかの国プロの支援を頂き、本太陽電池の開発研究に取り組んでいます。

 もともと私は、大学で有機化学の研究を行っていましたが、そこで培った材料設計・合成・解析・精製技術などの有機合成化学のノウハウを活かし、2014年にはペロブスカイト半導体の高純度化前駆体材料の開発に成功しました。本材料はペロブスカイト太陽電池研究分野における標準材料として世界中で広く利用されています。さらに、本材料の溶液塗布による高品質なペロブスカイト薄膜の作製法の開発にも取り組み、これらの技術により20%を超える光電変換効率を示す太陽電池セルの開発にも成功しています。

 これまでに携わってきた他の有機系塗布型太陽電池と比べても、ペロブスカイト材料の特性は極めてユニークであり、間違いなくシリコンやCIGSなどの従来の太陽電池との性能争いを繰り広げるだけの実力を有しています。本材料を用いた太陽電池、いわば、「塗って作れる薄膜太陽電池」の実用化により、日常の様々なシーンで多様なデバイスへの「どこでも電源」を実現し、高まる社会のエネルギー需要に応えることが可能です。私は、このペロブスカイト太陽電池の開発研究を、単なる学術研究にとどめることなく、実際に本太陽電池を世に出して世界を変えたいという強い思いから、京都大学インキュベーションプログラム(第1期)の支援を頂きながら起業準備を進め2018年1月に株式会社エネコートテクノロジーズ設立に至りました。

 2018年末には、京都大学イノベーションキャピタル(iCAP)からの出資を受け、いよいよ事業化に向けた開発研究が本格化してきました。市場で要求される性能と信頼性を満たし、本太陽電池の製品化を実現するためには、さらなる高性能材料の開発や、大面積化技術、効率的な大量生産法の確立など、まだまだ多くの克服すべき課題が残されていますが、本材料の可能性を信じ、皆様のご支援のもと、これらの克服に向けて全力で挑んでく所存です。どうぞエネコートテクノロジーズをよろしくお願い申し上げます。

2019年3月
(株)エネコートテクノロジーズ
共同創業者/最高技術責任者/取締役  
京都大学 化学研究所 教授
若宮 淳志